月で傾向が違っても大丈夫!移動平均法で季節変動か成長か見極める


急成長するベンチャーで一番危険なのが「停滞」だとしたら、どうすればそれを見抜くことができるでしょうか。例えば、定点的に数字を計測し、常に右肩上がりであることを確認することで、それは可能になるかもしれません。

しかし、売上を計測するにしても、休日が高く平日は低い場合、一概に数字だけ追っても意味がありません。時期変動を考慮する必要があります。いわゆる季節変動というやつです。

ですが、クリスマスはいつもより売上は増える、梅雨は観光客が減って売上が下がる、そうした要因を補正すれば、本当に成長しているのか、それとも単に季節変動により成長しているように見えるかが解るはずです。


では、そんなことが簡単にできるのでしょうか。できるんです。そう、移動平均法ならね


そこで今回は「移動平均法」を用いて、3STEPで「成長を見極める方法」を披露したいと思います。


STEP1:「移動平均法」で時系列データを「平滑」化する

簡単に言うと、移動平均法とは一定の区間(期間)を定め、範囲をずらしながら平均をとっていくことで、規則的な変動要素(季節変動)と不規則な変動要素(無作為変動)の影響を除き推移を「平滑」にする手法です。

特に金融や気象などの分野で重宝されています。株をされる方なら「○日移動平均」という言葉にピンと来るのではないでしょうか。

詳細な説明をするより、実際に「移動平均法」を用いて、分析してみましょう。


良い具体例として、経済産業省が発表しているオープンデータを活用します。特定サービス産業動態統計調査(※1)の対象に広告業が含まれているので、その中の1つである「インターネット広告」の売上高から、インターネット広告はどれくらい成長しているか否かを確認したいと思います。




対象期間は2008年1月~2013年10月

グラフで見ると、確かに右肩上がりだが、ここ数年は凸凹して本当に成長しているか解らない状態




移動平均による算出結果そのものはExcelにアドインされているツールで、結果を出すことができます。

[データ]タブを選択後、データ分析を選択してください。そして、いくつかある中から「移動平均」を選択してください。すると、以下のような選択画面が表示されます。



もし、データ分析がなければ、[ファイル]タブのオプションを選択後、[アドイン]-[管理]の設定を選択して、「分析ツール」のチェックを有効にして下さい。
ここで説明した内容はExcel2010を指します。それ以前のバージョンの場合、それに沿った選択をして下さい。

入力範囲は、売上高を選択します。(アドインを用いた移動平均の場合、1つの行か列しか選択できないため、便宜上、絵では縦一列にしています)

区間は、とりあえず「12」を選択します。出力先は、「C2」を選択してください。

それだけ入力すると、あとは[OK]を選択するだけです。すると、C列に移動平均で算出した結果が表示されます。



C13にはB2~B13の平均が、C14にはB3~B14の平均が、C15にはB4~B15の平均が……これが延々と続きます。範囲をずらしながら平均をとっていることがわかります。

つまり、年間の値を平均したものを算出することで、季節要因を排除しているわけです。季節が一巡する年間のスパンで考えると、結果的に稼働・閑古時のムラが相殺されるという考えです。




区間で「12」と指定したのは、どの区間分の平均を出すかという意味です。もし、分析対象が日毎の売上で、かつ1週間のスパンで考えれば稼働・閑古時のムラが相殺されるなら、ここには「7」と入れるべきでしょう。

さて、ではその結果ですが、以下の通りになります。



赤線が、移動平均で算出した「平滑化された売上高」の推移です。

こうして見ると、2010年12月から2011年11月の間は急成長していることが解ります。


STEP2:平滑化された時系列データから「季節変動」を明らかにする

C列に表示されている値は平滑化された値であり、B列に表示されている値は季節変動を含む実測値です。つまり、B列をC列で割った値が「季節変動値」になるわけです。



それが以下の結果です。こうして見ると、3月、6月、9月、12月は上向く傾向にあることが見て取れます。

その一方で、2010年12月頃からから2011年11月まで続く好景気(?)の影響で、本来は下降するはずの1月や4月は2011年のみ例外扱いになるなど、完全に「季節変動値」とは言い難い状況です。



そこで、この値の平均を算出します。

ただし、大きく上振れしている値を排除するトリム平均を採用します。(トリム平均はフィギュアスケートでも採用されているメジャーな分析手法の1つです。最大値と最小値を除いて計算した平均のことです。がんばれ、真央ちゃん!)

その結果を足し算してV12に表示すると、「12」をオーバーしてしまいましたので、12か月分の合計が足して12になるように、22列目を補正しておきます。

1週間の場合は、足して「7」になるようにしましょう。

その結果が、以下の通りです。







3月と12月は季節柄上振れる、1月と8月は季節柄下振れるというのが解ります。


STEP3:「季節変動」を排除することで成長を見極める

STEP1で時系列データを平滑化し、STEP2で季節変動値を明らかにしました。最後に、平滑化する前のB列に表示されている季節変動を含む実測値を、季節変動値で割ります。



2008年1月以降の実測値を、1月~12月までの季節変動値で割ります。その結果である「季節調整済みインターネット広告売上高」は以下の通りです。



青線が実測値、赤線が季節変動を排除した「季節調整済み」の値になります。2011年以降の凸凹が、かなり慣らされていることが解るかと思います。

と同時に、紫枠で囲っている2012年4月~2012年10月にかけて、実態として「ほぼマイナス成長」の局面にあったことも見てとれます。

非常に驚くべき結果となりました。


今回、紹介させていただいた内容は、主に「季節変動の排除」がメインでした。

売上は主に、季節性、トレンド性、循環性、無作為性の4つから成り立つと言われています。今回はあくまで季節性に焦点を絞った分析手法をご紹介させていただきました。

ですので、例えばSTEP3で作成した「季節変動を排除した値」のグラフを見て、「なぜ2012年11月から急回復したのか?」を考える際、単純に成長なのか、アベノミクスによるものなのかを考慮するかどうかは各判断に依るかなと思います。

例えば、経済成長率を割るなどという方法もあるでしょう。

ただ、そこまでするとなると時間が掛かる話かと思います。今回、ご紹介させていただいた内容は、エクセルを用いれば10分で可能になります。皆様もぜひお試しください!!

おまけ

あけましておめでとうございます!ということで、今回の内容を皆さんにも活用して欲しいと考え、今回の分析手法をコチラからDLできるようにしました。年間と週間の2種類をご用意しています。

アドエビスをご利用のお客様は、「ADエビス」>「期間別分析」の「日別」あるいは「月別」からCSV形式でDLを行い、その出力結果を「C列」に貼り付けるだけで、グラフが表示されます。

年間版は2007年~2013年の7年分で、週間版は1年間の52週分で用意していますが、必要に応じて増減して下さい。

対象はクリック数、全体CV、広告コスト、売上総額で試してみると良いと思われます。

今までなかった気付きが得られることを期待しています。それでは、今年もよろしくお願いします!


【参考】

※1:特定サービス産業動態統計調査 http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/index.html


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