広告効果測定の全数データ「エビスINDEX」を語る!(1)


ついに公開された広告効果測定の全数データ エビスINDEXをマメ研先生が語る! マメ研先生 豊澤栄治×アドテク女子 加嶋美穂

[豊澤] 忙しいのに呼び出して悪かったね。今日はどうしても見て欲しいことがあったので、アドテク女子こと加嶋さんに来て貰いました。

[加嶋] 凄く面白いデータが見れらるとお伺いしたのですが、一体何が見られるんですか?

[豊澤] 以前、アドエビス業種別統計シリーズと題して、アカウントを特定しない、また個人を特定しない統計情報として不動産とECのデータを公表していたと思うんだ。今回、独立行政法人産業技術総合研究所との共同研究により、さらに業態を増やして「エビスINDEX」という名前で公表することができるようになったんだ!まずは、さっそくこのグラフを観て欲しい。

エビスの全アカウント分のクリック数

[加嶋] これは…もしかして、エビスの全アカウント分のクリック数ですか?

[豊澤] その通り。2012年6月1日から2013年5月31日まで、過去1年間分のクリック数を折れ線グラフで表現してみたんだ。このグラフを見れば、WEB広告の盛り上がり具合が一目で解ると思う。

[加嶋] やっぱり、年末年始はクリック数が下がるんですね。
あ、それにお盆の時期も。他には・・・休日はクリック数が下がって、平日はクリック数が上がっているように見えます。パソコンやスマホの接触時間と連動性があるかもしれません。
こうやって数字を前に、要因を考えるのって面白いですね!

[豊澤] 週次の動きと季節性の動き、2つの動きがあるようだね。季節性の動きで言えば、例えばクリスマスの時期だと24日頃にピークが来るのでなく、むしろその頃には落ち込んでいる。
20日頃にピークが来ているのが解るよね。つまり、人間が意識して行動し始めるのが10日~5日前だというのが解る。業種には拠るにしろ、この期間がクリスマス商戦のかきいれ時という1つの仮説が生まれるよね。

[加嶋] 年末年始のクリック数が少ないのは理解できるんですけど、平日より休日の方がクリック数は少ないというのは意外でした。想像していたものと違いますね。

[豊澤] もちろん業種毎に細かく見れば、平日より休日のクリック数が多い場合もあると思う。
けど、それらを合算して俯瞰して見てみれば、平日のほうがクリック数は多いというのが1つの真実なんだ。

[加嶋] ところで、ここからいったい何が解るのでしょう?
確かに興味深いですけど、面白いデータかと言われると、ちょっと……。

[豊澤] 良い質問だね!(笑)こうしたグラフを、単純にクリック数の合計として見るのではなく、統計的な観点で見ることがとても大切なことだと思うんだ。
少し個人的な話になるんだけれど、僕は前職ではファンドマネージャーという仕事をしていたんだ。簡単に言うと、お客様から預けて頂いたお金を運用して利益を上げていく職業だね。
資産運用の世界では、一般的な見方とはちょっと違った大事な視点があるんだ。
個人で投資しているとお金が増えて得したか、減って損したかが、ほぼ全てだよね?もちろん得したい訳なんだけど(笑)、これは「絶対リターン」と呼ばれる視点なんだ。
もう一方で、「相対リターン」という視点がある。例えばあるファンドを買ったとして、パフォーマンスが5%だったとしよう。でも市場全体は+10%だったとしたら?

[加嶋] うーん……実質は、マイナスということですか?

[豊澤] 正解だよ。確かに絶対リターンでみて+5%は儲かっているけど、市場全体が+10%の伸びなら相対リターンは▲5%、その運用は上手じゃないってことになる。そのファンドを買う代わりに市場全体の動きに連動するファンド(所謂、パッシブファンド)を買った方がよかったとなる。
つまり運用の結果を市場全体の動きと比較して、それを上回る利益を出すことを相対リターンの追求と呼ぶんだ。絶対リターン、相対リターンの視点はどちらもとても大事で、目的によって使い分ける必要があると言える。
お客様から預けて頂いたお金を元手に、約束した範囲内で最大限のパフォーマンスを発揮し続けるというフレームは、ネット広告の運用と同じだと僕は感じている。
その意味で、殆どのマーケッターが相対リターンの視点を持たず、絶対リターンの視点だけで広告を評価していることに、凄く違和感があったんだ。

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[加嶋] 確かに、他社さんってどうなんですか?と聞かれます。今まで自アカウント内での比較しかできなかったけれど、このデータが公表されることで、ベンチマークというもう1つの見方が生まれるということですよね?

[豊澤] その通りだよ!

[加嶋] じゃあ、今回発表された数字より結果が低ければ、運用が上手くいっていないということなんですね。

[豊澤] それは短絡的過ぎる見方だし、そういう見方を研究所としては望んでいないな。
エビスINDEXはあくまで「総合的に把握できる指標」なんだ。
例えば、日経平均株価のパフォーマンスを下回っている企業は全て悪い企業だと断定できないだろう?広告運用の形態によっては、週次、月次で見た方が良い場合もあると思う。
週毎の騰落率で見た方が良い場合もあるよね。

じゃあ、さっそく業種毎のデータを見ていこう。今回は、CVRを用意したよ。
CVRはクリック数とCV件数で成り立つ計算式だけど、クリック数はインプレッション数という母数に左右される部分がある。だから、CVRだけを見るのではなくクリック数なども見て、総合的に判断した結果、10業種の統計データを提供できることになった。
その全てをここで発表することはできないので、それは資料請求をして頂ければ提供するとして、今回はデータの見方も含めて、幾つかの業種をピックアップしよう。

業種に応じて効いている施策は違う

[豊澤] 今回発表するCVRは、メディアタイプ経由のCV、その何れもが直接コンバージョンになっている。
メディアタイプはリスティング、DSP・アドネットワーク、アフィリエイト、メルマガ、純広告の5種類だ。アドエビスは「全てのネット広告の効果を測定」できることが強みだから、メルマガまで含めて分析できるのは面白いよね。
CVについては、資料請求、お試し購入、問い合わせなど色んな種類があると思うけど、いったん全てを合算した値になっている。今後はCV別のタイプ別にも発表する予定だよ。
さて、さっそく見て欲しいのは「情報サービス」業(n=169)だ。

「情報サービス」業CVR表その1
「情報サービス」業CVR表その2

[加嶋] アフィリエイトとメルマガのCVRは物凄く上下していますけど、リスティングやDSP、純広告はそれに比べてなだらかですね。形態の違いでしょうか。
メルマガは発行される日が決まっているから上下するのは解るんですけど、アフィリエイトも同じなんですね。意外だなー。

[豊澤] 業種に拠る部分もあるかもしれないね。他にどんなことに気付いたかな?

[加嶋] そうですね…色んなメディアタイプでCVが獲得できていますよね。
最近はDSPやDMPという単語をよく聞くのですが、あくまで「どうやって顧客に商品を購入して貰うか」という手段の1つに過ぎないと気付かされました。当たり前かもしれないですけど、全体を俯瞰して見ることって凄く大事ですね!

[豊澤] なるほど、それは大事な気付きだね。今回は発表していないけど、初回接触からCVまでに掛かった時間や、そのシーン毎に経由したメディアタイプの統計データも算出できるよ。
さて、次に見て欲しいのは「化粧品・美容」業(n=71)だ。

「化粧品・美容」業CVR表その1
「化粧品・美容」業CVR表その2

[加嶋] さっきの折れ線グラフと微妙に違いますね。
純広告のCVRが、リスティングより高いです。純広告・DSPで認知度を上げて、リスティングで刈り取るという施策が一般的だと思っていたんですけど、この業種では少し違うみたいです。

[豊澤] そうだね。更にもっと面白いのは、年末年始のCVRの落ち込み度合いだ。
リスティングやDSPは落ち込んでいるけど純広告は横ばいに近い。クリック数も劇的に落ち込んでいるわけでは無いのに。なんでだろう?

[加嶋] もしかしたら、リスティング広告の限界なのかもしれません。
リスティングはユーザーが「検索する」というアクションを起こさない限り表示されない広告なのに対して、純広告はネットサーフィンをしていて接触される可能性のある広告です。
けど、DSP・アドネットワークも一緒に下がっているということは、広告枠をアドネットワークに提供していない媒体をサーフィンしていたのかもしれませんね。
どちらのCVRが高いかと言われれば、既にモチベーションが高まったリスティングというのが通説でしたけど、この業種では新規であってもクリエイティブだけでモチベーションを高め易くなっているのかもしれません。

[豊澤] さらに面白いのは、「金融」業(n=30)だよ。

「金融」業CVR表その1
「金融」業CVR表その2

[加嶋] 何だか、ある日を境にリスティングのCVRが跳ね上がっているみたいですけど…。

[豊澤] レジームシフト(体系の急激な変化のこと)の良い例だと思う。
去年の10月頃から金融業界で起こり続けている変動と言えば、何が思い浮かぶかな?

[加嶋] うーん…アベノミクス、でしょうか。

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[豊澤] 正解!この業界は、その恩恵を受けている代表格の1つだよね。実は衆議院選前から、既にアベノミクスを期待した動きが起こっていたことを推測させるグラフだよね。
この統計データを日経平均株価と連動して見るのも面白いと思うよ。株式市場に個人投資家が戻ってきているから、彼らを呼び込むために様々なマーケティング施策に予算を投入する動きが加速しているんじゃないかな。

[加嶋] CVRが上がっているみたいですけど、クリック数も上がっているんですか?

[豊澤] 面白いのは、クリック数はそれほど増えていないことなんだ。獲得数だけが、この半年で大きく増えている。さらに面白いのは、この1年間でDSP・アドネットワーク経由のクリック数がかなり増えているんだ。

[加嶋] 金融と言えばお堅いイメージがありますが、導入に見合う成果が出たから、一気に導入が広がったのかもしれません。広告主の理解があってこそ、どんなツールも使われるようになるのですね。

[豊澤] 他にも、この業界ではアフィリエイトのCVRがそれほど高くないことが解るよね。
業種が違うということは、接する顧客が違うということ。同じ人であっても、Aという商材は即決して買うけど、Bという商材はじっくり考えて買う。それに合わせたメディアタイプの選択が不可欠ということだね。