2014年の消費税増税がECに与えた影響を分析してみた


2014年4月1日、消費税が8%になりました。

消費増税により、購買意欲は減退してGDPに大きな影響を及ぼすと喧噪されていましたが、現在報道されているところによると、家電や宝飾品などの高額商品は駆け込み需要の反動減により前年同期比で数十%減の影響が出ているものの、日用品等は大きな需要減退は見られないようです。

消費増税を巡る駆け込み騒動は、事前に予想されていた通り「高額商品のみ需要がある程度」で、各社とも「想定の範囲内」といった状況でしょうか。


ではインターネット上では、特にECサイトでは、どのような影響が出ていたでしょうか。リアル店舗で発生していたことが、ウェブ上でも発生していたのでしょうか。

今回はエビスINDEXを活用し、消費増税による「購買意欲」への影響を調査してみたいと思います。果たして、この4ヶ月でコンバージョンの獲得件数はどのように推移したのでしょうか?


前提条件

今回の調査の前提条件です。

  1. 今回、調査対象としたのは「物販(化粧品・美容)」「物販(食料品)」「物販(アパレル)」「物販(医薬品)」の4業種です。
  2. コンバージョンのタイプは「予約完了」「購入完了」「申込み完了」「会員登録」「資料請求」「問い合せ」「メルマガ登録」「その他」の8種類に分けられますが、そのうちタイプが「購入完了」のみを対象としました。
  3. 期間は1月6日から4月27日までの16週間です。
  4. 結果は、週次単位で出力します。
  5. 推移を見ることが目的ですので、各業種1月6日〜1月12日に獲得したCV件数を100とした場合、以降1週間ごとの数値を算出しています。


調査結果(業種編)

1月6日から4月27日にかけての16週間、各業種は以下のような推移をしながらコンバージョンを獲得していたことが解りました。


まず、グラフを目にして目立つのは「物販(食料品)」の、4月第1週のナイヤガラの滝のような落ち込み具合です。下落率は、先週と比べて-42.81%ということで、破壊力ある暴落であることがよく解ります。

実際、消費増税した4月以降、今回調査対象の業種すべてにおいてコンバージョン獲得件数は落ち込んでいることが解りました。最も落ち込みを見せたのが「物販(食料品)」さらに「物販(医薬品)」「物販(化粧品・美容)」「物販(アパレル)」と続きます。

一方で、翌週には「物販(食料品)」が、さらに次の週には残り3業種全てが回復を見せていますから、いわゆる「消費増税による一時的な影響」だったのだろうと推測できます。


また、3月最終週は、「物販(食料品)」を除いてCV件数が上向いていることが解ります。駆け込み需要があったことがよく解ります。「物販(食料品)」については、それ以前の1ヶ月がずっと駆け込み需要状態だったようにも思えます。

2月から絶不調だった「物販(アパレル)」も同様で、3月中旬からCV件数が上向いており、消費増税を前にちょっと単価の高い服を買っておこうという消費者マインドが窺い知れます。そして、その一人は私です


つまり、ここから導き出せる結論として「今回対象とした業種に、消費増税前に駆け込み需要はあった。それを受けて暫くは落ち込んでいた。しかし、直ぐに回復を見せている」と言えるのではないでしょうか。

リアルの購買状況においても、報道されている限りにおいては似た傾向を見せているようです。もはや、物を買うのに特定年代を除いて、ネットとリアルの境目は無くなっているのかもしれません。


さて、各線を俯瞰して見てみますと、「物販(医薬品)」と「物販(化粧品・美容)」が重複している部分が多々あります。そこで、それぞれの相関についてExcelを用いて算出してみます。


0.4~0.7については、「中ぐらいの相関がある」と見るのが一般的です。したがって、「物販(医薬品)」と「物販(化粧品・美容)」については、相関があると見て良いと思います。

考えてみれば、両者ともドラッグストアで買えますし、買い替えのサイクルも似ています。値ごろ感もだいたい同じです。ついでに買ってしまうケースが非常に多いのではないでしょうか。


調査結果(媒体編)

ちなみに、1月6日から4月27日までの16週間で、各媒体は以下のような推移をしながらCVを獲得していたことが解りました。(これは全業種を含みます、対象となるCVのタイプは「購入完了」に限ります


どの媒体も、3月最終週に獲得件数が向上し、4月第1週には落ち込んでいることが解ります。つまり先述した業種別での「落ち込み」は、あらゆる業種を合算して見たとしても起きていた可能性は十二分にあると考えることができます


ところで、須藤元気かと突っ込みたくなるぐらい折れ線グラフがカクカクとしている媒体もあれば、比較的揺れ幅の少ない媒体もあります。

これは、季節要因やキャンペーン等、各媒体の特性だと思われますので、それぞれの標準偏差(意味は過去のコチラの記事を参照下さい)を並べてみました。


標準偏差がより小さいほど、ブレが少なく安定的にCVする媒体であると考えられます。

その意味でリスティングは安定的な漁獲高を確保できる一方で、メルマガは「マグロの一本釣り」のような遠洋漁業のようなものかもしれません。もっともメルマガの発行回数が週1の場合もあれば月1の場合もあるでしょうから、週次単位の標準偏差で見るからバラツキが出ているだけかもしれません。


さて、せっかくですから、各媒体の相関関係も算出してみました。


「リスティング」と「DSP/アドネットワーク」が緩やかな相関関係にあることが解りました。

世間一般的に、「DSP/アドネットワーク」で顧客の興味関心を惹き、「リスティング」で刈り取るというカスタマージャーニーが描かれていると言われていますから、「DSP/アドネットワーク」で顧客の興味関心を惹いてそのままCVを獲得した場合もあるから、相関があるのかもしれません。

しかし、「アフィリエイト」も両媒体は相関関係にあることが解りました。どのようなカスタマージャーニーを描けばいいのか、少し戸惑っています。

さらに、「メルマガ」と「純広告」の相関は前述したものよりも高いことが解りました。これは意外です。てっきり「DSP/アドネットワーク」と「純広告」に相関があると思っていますが、こちらは全く関係ないという結果になっています。


ちなみに、この関係をグラフで表すと、以下のようになります。


もちろん、相関はあくまで、結果の数字のみに着目し、繋がりがあったと見るために用いられますから、全てにおいて上記が適用されることは無い点は留意して下さい。


自社の成果とエビスINDEXを比較してみる

この調査結果は、いわゆる市場全体を表す「相場」になります。このエビスINDEXと比較することで、相場の流れを受けているのか、運用担当者の腕が良かったのかが解ります。

今回は前提条件分のエビスINDEXをご用意しました。コチラからDLして下さい。分析の仕方は簡単です。

  1. 「自社運用実績」シートのC列に、自社の運用実績を挿入して下さい。現在はRAND関数を代入し、でたらめな数字を挿入しています。
    ※「アドエビス」をご利用の場合、期間を2014年1月6日~2014年4月27日に選択して頂いてから、ADエビス>期間別集計>日別集計画面から結果をDLしていただき、その対象CV件数を貼付けるだけで結構です。
    ※「アドエビス」をご利用でない場合、日毎のCV件数を集計した後に貼付けて下さい。
  2. 「アパレル」「医薬品」「化粧品・美容」「食料品」各シートに、比較結果が表示されます。
  3. 週毎に、エビスINDEXを上回っていれば赤色、エビスINDEXを下回っていれば青色が表示されます。(また、R列にスパークラインも表示しています)

さすがに18週連続で赤色ということはないでしょうが、8回以上も上回っていれば、腕が良かったと言えるのではないでしょうか。

調査結果の結論

リアルでの購買同様に、ネットでも「駆け込み需要」「買い控え」は起きていたことが解りました

このデータをもとに、例えばPOSデータをお持ちの企業なら「ネットとリアル、どちらの方が買い控えの期間は長かったのか?」などの分析も可能だと思います。色々と想像が広がりますね!

【参考文献】

Excelで学ぶ共分散構造分析とグラフィカルモデリング 著:小島隆矢、山本将史


マーケティングメトリックス研究所では、共同研究や寄稿記事を募集中です。
ご興味のある方は、是非、お問い合わせください。