SearchConsoleを使ってコンテンツを1つの指標で評価する

 

コンテンツマーケティングを実践するうえで、検索エンジンはユーザーの安定供給先であり、マーケターは定点観測が必要です。また検索エンジン(Google)側も、ユーザーの検索体験を向上させるうえでコンテンツの質を重視する傾向にあります。

いわば検索エンジンで検索したユーザーにどう見られているか?を考えることが、コンテンツマーケティングで成功する重要なカギの1つだと言えます。(もちろん最終目標であるCVは大切ですが!)

そこで、マメ研ではGoogleSearchConsoleから提供されるデータを1つの指標に加工して、良し悪しを判断するようにしています。

 

結局、何が大切な指標なのか?に対する解

個人的な見解ですが、コンテンツの内訳を考えると、超人気コンテンツ1:普通コンテンツ19:伸び悩みコンテンツ80程度の割合に分かれているのではないでしょうか。

評価しようにも、平均で見ると上位コンテンツに引っ張られるし、中央値で見ると伸び悩みコンテンツが基準になるため、判断できない!と頭を抱えているマーケターも多いでしょう。

さらに、何で評価するかに悩みます。

GoogleSearchConsoleではクリック数、表示回数、CTR、掲載順位が提供されていますが、クリック数だけで評価できないことは、検索エンジンからの流入が多いコンテンツサイトであれば自明の話です。

なぜなら、よほど掲載順位が下位で無い限りコンテンツで扱っている話題(キーワード)の想定検索ボリュームによってクリック数は変わるからです。

 

例えば、キーワードプランナーで調べてみると「野球 データ」は月間平均1,300imp、「サッカー データ」は月間平均320impでした。当然「野球 データ」を扱ったコンテンツの方がPV数は多いでしょう。

だから「野球 データ」を扱ったコンテンツが優れているかと言えば、それもまた違うでしょう。もしそのような評価を下してしまうと、取り扱うネタが全てになってしまいます。素材が良ければ全て良いなら、料理の鉄人は不要です。

 

順位を考慮しておきたい、さらに表示回数は前提にしておきたい…そうした悩みを一気に解決して、1つの指標でコンテンツをコントロールする方法があります。

それはz得点(標準得点)です。

 

z得点(標準得点)とは何か?

あるデータのグループの平均が0・標準偏差が1になるよう加工した値が標準得点と言います。標準得点に加工した値は、集団の中での相対的な位置を示しています

あまり聞き馴染みが無いかもしれませんが、「偏差値」もこの標準得点を用いています。

 

例えば、あなたが英語と国語のテストを受けて両方とも点数が70点(100点満点中)だったとします。

絶対評価であれば「7割だった」に過ぎません。

ですが、英語の平均点が60点で標準偏差が10点、国語の平均点が80点で標準偏差が5点だったなら、意味合いが大きく変わってきます。

 

標準得点を求めてみましょう。値は、(自分の値-平均)÷標準偏差で算出できる簡単なものです。

英語は(70-60)÷10=1、国語は(70-80)÷5=-2となります。ちなみに偏差値は標準得点に10掛けて50を足したものなので英語の偏差値は60、国語の偏差値は30となります。

こちらの方がイメージし易いかもしれませんね。

 

標準得点が優れているのは単位が違うもの同士で相対的な比較ができることです。

100点満点と200点満点のテスト、身長と体重、そして他にも表示回数と順位…。そう、この標準得点を使って指標を1つに集約します。

# 主成分分析をするには指標が少なすぎます。

 

z得点(標準得点)で指標を1つに

マメ研ではGoogleSearchConsoleの画面で期間を「過去7日間」に絞り、ページ単位の各指標結果をCSVでダウンロードして、その結果をもとにz得点を作成してコンテンツの評価をしています。

 

GoogleSearchConsole画面イメージ

期間が7日間の理由は「日単位だと平日・休日の影響を受けやすい」のと「GoogleSearchConsoleは最大90日分しかデータが無い」からです。

 

まずは、クリック数、表示回数、掲載順位それぞれの標準得点を求めます。

1つ注意すべきこととして、掲載順位は数が小さくなるほど良いので、通常の標準得点の求め方だと順位が高いほど悪いと見なされてしまいます。

そこで計算式を(平均-自分の値)÷標準偏差にしています。平均からの差分の考え方をてれこにするわけです。

 

標準得点の結果(マメ研の実際のデータより。)

それぞれの標準得点を合算します。標準得点そのものを「コンテンツ同士の相対的な値」から「各評価軸で見た得点」と見做して合算するのです。

あとは、その得点自体で再度、標準得点を求めます。見る側がイメージし易いよう、偏差値で表すと良いかもしれません。そうすれば、その値が、クリック数、表示回数、掲載順位それぞれの「相対的な値」を考慮した「1つの指標」になります。

マメ研では過去半年分のデータを蓄積し、その半年分の平均値から求める標準得点と、直近1カ月の平均値から求める標準得点を算出し、その2つを重み付けして偏差値を算出しています。

 

全体と直近の結果を重み付けして算出

偏差値の結果をヒストグラムで表すと以下のようになります。

 

超人気1、普通19、伸び悩み80のバランス

平均でも中央値でも見えてこない、全体のバランスと傾向に基づいた俯瞰図の完成です。

偏差値50台を中心に、正規分布になっています。あとは、偏差値50以下のコンテンツを改善すれば良いだけです。

このほかにも新たに書いたコンテンツが、このヒストグラムの中でどのあたりに位置するかもチェックすれば良いでしょう。

 

ちなみにマメ研では偏差値47以上50未満のコンテンツに対して、タイトルの見直しやh2タグの見直し含めたリライトを行っています。

これは過去の経験則ですが、偏差値が低すぎるコンテンツは構造的な欠陥(そもそも表示回数が少ない、競合が多過ぎる等)を抱えていることが多く、対策に時間を要するからです。

人手が少ない場合は、それらの対策を施すより新たなコンテンツを書いた方が良いと考えています。

以下がリライト対象の記事一覧ですが、皆さんならどれに手を施しますか?

表示回数が多くてCTRを上げるべき「阪神タイガースが2015年セ・リーグを制覇するのか分析してみた」でしょうか? それともCTRが高くて表示回数を増やすべき(或いは順位を上げるべき)「ビッグデータで今もっとも購買意欲の高い都道府県を明らかにする!」でしょうか?

 

偏差値50未満47以上のコンテンツ。

 

マメ研テンプレートをDLできるようにしました

最後に、今回紹介した内容が直ぐにでもお試しできるように、CSVを用意しました。コチラからDLしてください。

このように活用して下さい。

1)「YYYYMMDD」SheetsにGoogleSearchConsoleからDLした結果を張り付けて下さい。
2)「クリック数」「表示回数」「順位」SheetsのA列に評価したいコンテンツを張り付けて下さい。vlookup関数で1)のSheetsを見るようにしています。
3)「全体」SheetsのA列に評価したいコンテンツを張り付けて下さい。vlookup関数で2)のSheetsを見るようにしています。

今回紹介する内容だと、コンテンツマーケティングの長期的な目標であるCV獲得には触れていませんが、それはあえて、です。

人気コンテンツがCV獲得数が最も多いとは限らないので、正直ベクトルが違います。

あえて、そこは脇に置いておいた評価方法である点だけはご理解ください。

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