国勢調査のデータで日本がヤバさがわかる4つのインフォグラフィック

松本 健太郎

 

現在行われている平成27年国勢調査を応援する意味も込めて、今回は過去100年分の国勢調査結果に触れることでどのような考察を得られるかについて調べてみました。

 

ただ数字を表に落とし込むだけならともかく、tableauを用いて伝えたい点をしっかり表現するインフォグラフィックスに挑戦していきたいと思います。

※ちなみにこのコンテンツはTableau社の記事広告ではありません!念のため!

 

そもそも国勢調査とは?

国勢調査とは、国のもっとも重要かつ基本的な全数調査であり、その始まりは1920年と長い歴史があります。5年ごとに行われており、2015年の今年はちょうど20回目にあたります。

そもそも、なぜ国勢調査が行われるようになったのか等の背景については、以前まとめた報告内容(「今年流行間違いなし!?今のうちに知っておきたい「オープンデータ」について簡単に纏めてみた」「統計学」の始まりと、長いようで短い歴史について)に詳しく記載しているので、詳細は省きます。

 

日本国内に住む全ての人を対象とする全数調査のため、その調査結果は官庁だけでなく民間にも幅広く用いられています。

例えば地方交付税の配分や衆議院議院選挙区の画定基準などは国勢調査の結果に基づいて策定されますし、意外と知られていませんが企業の大型店舗出店計画などは国勢調査のデータを参照しています。

その他様々な統計資料を作成するための基盤データとしても用いられており、日頃からオープンデータの恩恵を受けている人間からすれば、こんなにありがたいデータは無いのです。

ちなみに国勢調査の結果はこちらから確認することができます。

 

国勢調査の内容は、人口、世帯、産業構造などで構成されていますが、今回は「人口」に関するデータを中心に取り上げ、いかに国勢調査が大切かを訴えたいと思います。

2005年12月に総務省統計局が19回国勢調査の速報値を公表した際に「1年前の推計人口に比べ2万人の減少、我が国の人口は減少局面に入りつつあると見られる」と発表し、人口減少社会という言葉が注目を浴びました。

かねてからの少子化、高齢化、そして人口減少と、日本はいま三重苦に覆われています。このまま深刻な状況が進めば、全国に1万以上あると言われる「限界集落」は「終了集落」になりかねません

こうした問題に適切な対策を執ることも1つの安全保障対策だと思うのですが、国政にしても地方行政にしても、またマスメディアの動きにしてもまだまだ鈍いと言われています。

そこで、日本の少子化、高齢化、人口減少が急速に進んでいることがわかる4つのグラフを紹介したいと思います。

 

約100年、どの都道府県で人口は増えたのか?

1920年から2010年までの19回分のデータをtableauに読み込ませます。総務省が公表しているデータは都道府県毎に整理されているので、tableauでの表記も「色塗りマップ」を使うことにします。

0人から100万単位で色が変わっていくものとし、中央値は200万としました。人口0人〜200万未満の都道府県は青く塗られ、人口200万以上の都道府県は赤く塗られることになります。その色が濃くなるほど、中央値との乖離が激しいことをあらわしています。

その結果は以下の通りでした。1920年からの移り変わりをご確認ください。

 

 

いくつかの注目ポイントがあります。

1つ目。現在も大都市である北海道、東京、愛知、大阪、兵庫、福岡各都道府県が1920年の段階でも十分に大都市であるということです。大都市は1日にして成らず、ということですね。約100年間、一貫して大都市であったことがわかります。

2つ目。その逆で、現在も人口が少ない山梨、福井、鳥取、島根、徳島、香川、佐賀各県は1920年の段階から一貫して100万未満であったことがわかります。山間部も多く、もともと人が住みやすい土地も少ないのでは無いか?と勝手に推測しています。

3つ目。1945年ごろまで大都市に人口が集中しているように見えますが、以降は各地で人口200万以上の県が発生する「人口爆発」が起きています。しかしよく見てみると、それは主に東日本が中心で、西日本では京都と広島でしか発生していません。その理由については学術的な研究がなされていそうなので、深追いは止めておきます。

 

時系列で見ると東京への一極集中がいかに進んでいるかがよくわかります。1980年ごろから東京のまわりに一層、人口が増えているように見えます。

東京と隣接している山梨の人口が一向に増えないのは23区内から離れているからだと思います。リニア中央新幹線で山梨が県をあげて盛り上がっている理由も、ここにあると見て間違いないでしょう。

 

人口減少、どの都道府県がもっとも深刻か?

先ほどの人口推移は、人口の多さはわかりますが人口の増減具合まではわかりません。

東北、山陰、四国、九州各地方の色は100年間ずっと青色(200万未満都市)でしたが、それが維持されているのか、それとも減り続けているのかが見えないのです。

そこで、前回調査結果と今回調査結果を比較し、どれほど増減しているかを集計してみました。

-15%から15%の中で3%単位で色が変わっていくものとし、中央値は0%としました。0%未満の都道府県は青く塗られ、0%以上の都道府県は赤く塗られることになります。その色が濃くなるほど、中央値との乖離が激しいことをあらわしています。

その結果は以下の通りでした。1925年からの移り変わりをご確認ください。

 

 

いくつかの注目ポイントがあります。

1つ目。1935年までどの都道府県も満遍なく人口が増えていっていますが、1945年はいわゆる「大都市」の人口が軒並み減少し、それ以外の都道府県でかなり増加しています。これは恐らく疎開が影響しているのではないかと考えます。(ちなみに1945年の国勢調査は戦争の影響で実施できず、2年遅れの1947年に実施されました。)

2つ目。1960年〜1970年にかけて全国の都道府県人口が減少し、かわりに「大都市」の人口が増加しています。高度経済成長期に東京、愛知、大阪、福岡という大都市への移住(集団就職か?)が進んだと考えられます。吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」を思い起こします。

3つ目。1990年から各地で人口減少が起き始め、5年毎にウィルスに感染しているかの如くその範囲は広がり、2010年はほぼ全国が青く塗りつぶされています。その範囲外は「大都市」です。唯一の例外は滋賀県でしょうか。滋賀県は大阪からも名古屋からも近いことから、近年はベッドタウンとして注目されています。

 

人口減少傾向はすでに1990年から始まっていたことがわかりました。また、その傾向は1960年〜1970年に人口減少具合が大きかった県から始まっているように見えます。人口減少とはすなわち子供の誕生という要素が欠かせません。まさか30年前の都会への憧れが、今になって自分の故郷の首を絞めるなんて、誰一人として思いもつかなかったはずです。

2015年の国勢調査では、この人口減少がどこまで進んでいるかが注目されています。

特に東北、山陰、四国、九州各地方の色は、1990年から真っ先に青くなっています。この先の30年後、各県の人口は50万を維持できているかすら危うい状況だと思われます。

 

少子高齢化はどこまで進んでいるのか?

人口減少とは、誕生と死去の差分がマイナスになると発生します。都道府県単位で見れば、移動という観点も必要になってきますね。

まずは高齢者が人口に占める割合がどれくらいになるのかを都道府県単位で見てみましょう。WHOでは65歳以上を高齢者と定義しているようで、国勢調査でもそのように分類されていました。

各都道府県単位で65歳以上が占める割合を0%から30%の中で5%単位で色が変わっていくものとし、中央値は15%としました。15%未満の都道府県は青く塗られ、15%以上の都道府県は赤く塗られることになります。その色が濃くなるほど、中央値との乖離が激しいことをあらわしています。

その結果は以下の通りでした。

 

 

いくつかの注目ポイントがあります。

1つ目。1980年まで青く塗られていた全国が以降は赤く塗り替えられていきました。2010年は真っ赤っかです。もっとも高齢者の割合が多いのは秋田県で、人口の29.51%が65歳以上という結果になりました。

2つ目。その逆で、高齢化があまり進んでいないのは沖縄です。人口の17.27%が65歳以上という結果になりました。もちろん沖縄の出生率が全国で最高の1.90というのも理由の1つですが、他に移住者の多さもあげられるでしょう。

3つ目。1920年から1950年ごろまで高齢者が人口に占める割合は殆どの都道府県で5%程度でしたが、1960年以降はその割合が少しずつ増えています。その理由として日本人の寿命が大きく伸びたことも理由にあるでしょう。日本の医療の進歩を垣間見ることができますね。

 

減る人口に対して、増える高齢者の割合。実数で見れば激増していることが窺えます。

頭を悩ませるのは「公的年金」での世代間不公平でしょうか。公的年金は賦課方式といって現役世代から保険料を集め高齢者に年金を給付する仕組みですから、高齢化が進むと現役世代の負担感が増します

 

もちろんその分だけ払う側の人口が増えていれば問題ありません。

では、少子化が叫ばれていますが、子供の割合がどれくらい減っているか見てみましょう。

各都道府県単位で15歳未満が占める割合を0%から40%の中で5%単位で色が変わっていくものとし、中央値は20%としました。20%未満の都道府県は青く塗られ、20%以上の都道府県は赤く塗られることになります。その色が濃くなるほど、中央値との乖離が激しいことをあらわしています。

その結果は以下の通りでした。1925年からの移り変わりをご確認ください。

 

 

高齢化現象と全く逆のことが起きています。1990年を境に青く塗り替えられる全国は壮観ですらあります。

現在の出生率と現在の平均寿命を考えると、この先15歳未満の割合はますます減り、65歳以上の割合はますます増えると考えられます。

 

さて、このような状況で賦課方式の公的年金は維持できるのでしょうか?真っ赤に染められた日本地図と真っ青に染められた日本地図を見比べた政治家に意見を聞きたいものです。

 

まとめ

データが全てではありませんが、データは重要な示唆を与えてくれます。

国勢調査とは、まさに国家の行く末を占う重要な統計値なのです。書くのが面倒と言わずに、ぜひ皆様ご協力をお願いします。

 

一方で、データはデータでしかありません。

人口減少、少子化、高齢化、これらはあくまでデータから導かれた示唆です。大切なことはこの現実を前に、どのような目標設定を行い、どのように実現していくかだとおもいます。

現実的な問題としては、公的年金制度の維持が真っ先に思い浮かびます。

しかし30年スパンで考えると、東北、山陰、四国、九州各地方の人口減に伴う都道府県制度の維持が焦点になるのではないでしょうか。すでに参議院では「一票の格差」を契機に合区に取り組んでいます。

人口の多い県と、人口の少ない県、求められる行政サービスは違うのに、果たして均質でいいのでしょうか。サービスあたりのコストもいずれ話題になるはずです。

 

この国が千代に八千代に続くために、今この時代にこそやらなければならないことがわかるのが国勢調査であるというのが伝われば幸いです。