完全最下位のオリックス・バファローズが1年で失点を161減らしてCSに進出する話(予定)

 

オープン戦、交流戦、ペナント1軍、2軍、全て最下位、通称「完全最下位」というプロ野球初の不名誉な記録で終えた2016年のオリックス。

それでも多くの関西人は、堕ちるところまで堕ちたオリックスより金本阪神1年目に厳しい目を向けているのが現状です。

 

なんとかして手っ取り早くクライマックスシリーズに進出する方法はないか。セイバーメトリクスで考えてみましょう。

 

どうすれば手っ取り早くクライマックスシリーズに行けるか?

上位3チームのみ出場することが許されているクライマックスシリーズ。つまり1位である必要はなく、3位に滑り込めばいいわけです。

そこで過去10年間のパリーグ成績を見てみます。各順位の勝率を箱ヒゲ図で表現し、3位の四分位範囲を確認してみましょう。

 

ペナント順位毎の勝率の箱ひげ図
ペナント順位毎の勝率の箱ひげ図

 

少し厳し目に見て、4位の四分位範囲を超える勝率0.524であれば3位は間違いなさそうです。

ちなみに今シーズンの成績は以下の通りです。

 

2016年パリーグ結果
2016年パリーグ結果

 

勝率0.117上げるということは今より18勝分積み増す必要があります。ですが、方法は至ってシンプルです。得点を増やすか、失点を減らすかしかありません。

ではどれくらい増やせ(減らせ)ばいいのでしょう?

ここでピタゴラス勝率の考えを用います。(ピタゴラス勝率に関する説明はコチラの記事を参照して下さい)

ちなみに今シーズンの得失点から算出されたピタゴラス勝率は以下の通りです。

 

ピタゴラス勝率の算出と実際の勝率との差分
ピタゴラス勝率の算出と実際の勝率との差分

 

ピタゴラス勝率が0.524となるよう得失点をそれぞれ増減させてみましょう。

すると失点を161点減らすか得点を170点増やせば、ピタゴラス勝率が0.524になることが分かります。

 

この1年で手っ取り早くクライマックスシリーズに行くことを考えると、投手と打線のどちらに戦力補強を集中させればいいでしょうか?

それは、出た得失点の結果が現実的かを見れば分かります。

 

得失点を偏差値に置換してみると…。
得失点を偏差値に置換してみると…。

 

直感的に分かるよう、偏差値で表現してみました。

2016年の各チームの得失点で見ると、失点を161点減らせば偏差値は41.52から63.37に、得点を170点増やせば偏差値は32.56から67.65に上がることが分かります。

今シーズンは貧打にも程があるわけですが、そこから170点増やすとなると破壊力抜群のソフトバンクすら上回らなければなりません。

一方で投手陣の整備なら、日ハムやソフトバンクに追いつけば良いだけなので、まだ希望はありそうです。

楽な方を選びましょう。失点を161点減らす方法を考えてみます。

 

オリックスの先発投手陣は何がダメなのか?

先発防御率はリーグ6位、中継ぎ防御率はリーグ5位とダメな点を上げればキリがないので、まず弱点を明確にします。

83の負け試合のイニング別失点を見てみましょう。

 

パリーグ平均とオリックスの失点量推移
パリーグ平均とオリックスの失点量推移

 

パリーグ平均を大きく上回っていますね。ただ、よくよく考えるとリーグ平均の負数は69で、オリックスが14個分負け数が多いので、上回って当然です。

そこで、イニング別の失点を負け数で割ってみます。合わせて、HOMEとAWAYで勝率が違うので、個別に見てみます。

 

AWAYでの負け試合あたりのイニング平均失点量
AWAYでの負け試合あたりのイニング平均失点量

 
HOMEでの負け試合あたりのイニング平均失点量
HOMEでの負け試合あたりのイニング平均失点量

 

HOMEでの先発の立ち上がりの悪さが特に目立ちます。

オリックスのQS率は48.95%と、西武の45.45%に次ぎリーグ5位です。ソフトバンクが64.34%ですから、22試合の開きがあります。

規定投球回数に到達した先発は3人いますが、いずれも防御率は3.50以上で、合わせて26勝にしかなりません。金子の失速は計算外でしたが…。

 

各球団先発投手陣の成績
各球団先発投手陣の成績

 

ソフトバンクは先発だけで41勝ですから、この差は大きいですね。

QS数を増やしたとして勝利に繋がるとは限りませんが、先発がQSだった試合に勝てる確率と、そうじゃない試合に勝てる確率は雲泥の差があります。

打順1巡目の失点は絶対に防ぐ(査定に強く影響する)ぐらいの布告が必要だと思われます。

 

オリックスの中継ぎ投手陣は何がダメなのか?

中継ぎ陣(6回〜)については、リーグ平均を下回っている回もあり、何が悪いのか一見分かりません。

57の勝ち試合のイニング別得点を勝ち試合で割った結果と比較してみます。

 

AWAYでの勝ち負け試合の平均失点量推移
AWAYでの勝ち負け試合の平均失点量推移

 
HOMEでの勝ち負け試合の平均失点量推移
HOMEでの勝ち負け試合の平均失点量推移

 

先発が早めに崩れるか否かだけでなく、6回や8回の失点の多さも気になります。

9回はリーグトップクラスである守護神・平野佳寿が控えているので、2〜3イニングの中でちょっとした異変が起きていそうです。

 

オリックスの中継ぎは、今期は主に以下のメンバーが登板しています。

 

多く登板した中継ぎ陣
多く登板した中継ぎ陣

 

平野を除く4選手の登場シーンを調べてみると意外なことに気付きました。

今シーズンのオリックスには「勝利の方程式」が見当たらないのです。

 

もはや伝説と化したJFKを始め、「勝ち星を確定させる中継ぎ&抑えの組み合わせ」は1995年以降のプロ野球で定番となりました。

今期前半は吉田一・平野の組み合わせが多くありましたが、吉田の不調以降は、佐藤、海田、塚原がローテーションのように現れます。

それも勝ち試合限定であればいいのですが、点差に関係なく登場しているようです。

 

登場シーンは勝ち越し?負け越し?
登場シーンは勝ち越し?負け越し?

 

日ハムの場合、マーティンにつなぐまでに勝ち試合は宮西・谷元が、負け試合は鍵谷・井口が投げる傾向にありました。

福良監督は「調子の良い選手をバランス良く投げさせている」つもりかもしれませんが、投手心理として「お前はセットアッパーだ」と言われたほうが奮闘しないでしょうか。

 

オリックスの投手陣の何を変えて161失点減らすのか?

161失点÷83敗=1試合2失点減らすなら、1回と5回しかありません。勝ち試合と比較して、負け試合はこのイニングで失点する傾向にあるからです。

つまり、やるべきは先発の強化しかありません。

しかし良い投手を入れれば万全とも言えません。そこで発想を変えて、7回〜9回の「勝利の方程式」を固めることにします。つまりゴチャゴチャになっている中継ぎ陣に役割を与えて整理するのです。

目指すべきチーム像は1999年〜2000年の福岡ダイエーホークス(藤井、吉田、篠原、ペドラザ)や2005年〜2008年の阪神タイガース(JFK)です。

先発には6回まで投げてもらえればOKとし、後は中継ぎで何とかして貰えれば、先発陣も気が楽ではないでしょうか。だったら最初から飛ばせるでしょう。

これで161失点防げるとは言い切れないのですが、少なくとも役割整備だけでも大きく変わるはずです。

 

後半を任せられる中継ぎ陣ですが、9回は平野で確定です。残り2イニングですが、私は海田智行、吉田一将を推したいです。

打線がもともと弱いので試合の終盤に逆転されると、まず再逆転の見込みはありません。

ホームランは厳禁、WHIPは高く、LOB%は低く、内野守備が不安なので奪三振は多いほうが良い。この観点でパリーグ各球団の主要中継ぎ陣(30試合以上登板)の34人と比べてみました。

海田は上記数値が全体的にリーグ平均より上です。

さらにFIP:2.93(6位)、HR/9:0.20(4位)、GB/FB:2.05(3位)とボールがフライにならない。まずホームランは無い投手です。全投球のうちストライク率:48.11%(2位)とテンポも良い。

気になるのはpLI:0.75(29位)と重要な場面で登板できていない点と、Clutch:-0.7(28位)とメンタルな弱そうな点でしょうか。ここは要強化点です。ただし、WPA/LI:1.57(4位)と肌感以上に活躍しています。

 

吉田は被打率:0.209(8位)、WHIP:0.98(7位)、さらにRE24:8.50(10位)、Clutch:0.35(6位)とパワプロで言う「ピンチ○」の臭いがします。

ただしHR/9やBB/9がいたって平凡ではあります。

 

海田智行→吉田一将→平野佳寿の順に登場してもらい、3人で「勝ち試合」の基盤を作ってもらいましょう。

3人の姓名の頭文字を取ってKYKグループと呼ぶのはどうでしょうか。関西人には馴染みの深いトンカツ屋さんの名前を拝借しましょう。コラボして、3人登場した翌日はトンカツ50円引きにしたら大阪人は注目してくれるかもしれません。

 

そして、ビハインドでも構わず「勝利の方程式」を注ぎ込む福良監督のために、専用の投手陣を作りましょう。私は佐藤達也、塚原頌平、比嘉幹貴を推します。

佐藤は本来なら勝利の方程式に組み込まれてもおかしく無い人材です。SO/9:11.54(1位)と三振でアウトが取れるのですがBB/9:7.84(34位)とノーコン過ぎます。

さらに被打率は:0.211(9位)ながら、HR/9:1.31(34位)、HR/FB:13.3(34位)と当たれば遠くに飛ばされるタイプです。平野の次に球は速いようですが、スライダーしか変化球がないので、フォークを覚えて出直しておいでって感じです。

比嘉は16試合、対戦打者43しかなく注目は集めていませんが、SO/9:9.64、BB/9:2.89、K/BB:3.33と良さそうに思えるのです。まだまだ荒削りではありますが、期待している選手です。

 

後半さえ固まれば、先発には何とかしてもらいましょう。

金子千尋、西勇輝、ディクソンに合わせて、松葉貴大、山田修義、高木伴と先発”候補”だけは揃っています。

後は新外国人1人、補強1人、ドラフトで捕った即戦力の山岡。9枚の先発陣で6枠を競争して貰いたいです。

 

補強せずに161失点減らせるのか?(掘り出し物選手見つけた!)

補強は必須ですが、トレードとなると、同程度の選手を出さなければならず多少の出血を覚悟しなければいけません。

特にオリックスの場合は打線、投手陣ともに底辺で「強み」が無い球団です。弱点を補おうにも全てが弱点なので、下手にトレードすると余計に変になります。

そこでビリー・ジーンのように他球団で評価が低そうだけど実は良い掘り出し株を探すことにします。

 

まず、面白いのがファイターズの新垣勇人です。

2012年プロ入り後4年間で、132人の打者と対戦して与えた四球はわずか3つ、BB/9:0.94は驚異的な結果です。

その代わり、被打率が0.326(132打席43被安打)と高いです。つまり四球を出す前に打たれるパターンですね。DERも0.633と高くありません。

ただ2016年の成績はK-BB%が17.9、LOB%が77.6、FIPが3.56とそれぞれリーグ平均(K-BB%:9.7、LOB%:73.3、FIP:4.02)を上回る数字を出しています。

四球で自滅することは無さそうなので、化ける可能性はあると思います。

 

次はイーグルスの濱矢廣大です。

入団当初は「変化球が曲がらない」という何を言っているのかわからない事態を見せましたが、今年は飛躍的に進化して、9回2/3を投げて52人と対戦、15奪三振を奪っています。SO/9:13.97はリーグ1位の成績です。

その代わり、BB/9:9.31ですから速かろう悪かろうの代名詞かもしれません。

1つ気になるのが、濱矢が打たれた打球の4割近くが打者の反対方向という点です。技術的に流し打てた選手ばかりなのか、或いは振り遅れが多いのか…。SO/9から考えれば後者のような気がしますが。

もう1人、同じくイーグルスの宮川将です。

2016年は9回2/3を投げて35人と対戦、被安打率が0.179、WHIPが0.83と良い成績を上げています。また1本もHRを打たれていないのも面白い(対戦した打者の顔ぶれによりますが)。

これといった大きな欠点も見つからず、なぜこの選手が2軍を中心に活躍しているのか謎です。

イーグルスは良い若手投手が多いですね。来年以降、意外と投手王国を築くかもしれません。

 

ちなみに、FA市場から確保するなら森福允彦選手は必須です。

先述した中継ぎ34人中、BB/9:0.67(1位)、WHIP:0.93(5位)、FIP:2.68(4位)、間違いなくリーグTOPクラスの中継ぎです。

勝利の方程式に入ってもいいし、野村阪神時代の遠山的存在にもなりうる人材です。Cランク人材なので人的保障も無く、ここで獲らないオリックスはどうかしてるぜ。

西武・岸やDeNA・山口などの候補もいますが、優先順位的には森福>岸>山口でしょう。

 

常勝王国を築くには?

パリーグの中で最も優勝から遠ざかっているオリックス・バファローズ。

今回はデータ分析の結果から失点を減らすという観点で投手陣の整備、特に①勝利の方程式を固める、②その上で先発陣に最低限の目標を課す、この順番での整備が重要であることを発見しました。

これで絶対に161失点減らせると言い切れないのがもどかしいですが、整理し、役割を与え、目標を課すことで、かなりスムーズになるはずです。

 

が、結局はこれも2016年という過去の結果での判断に過ぎず、2017年には全く違う結果を出す選手もいることでしょう。

したがって、重要なことは結果を残し続ける選手を育てること、これに尽きます。

常勝球団には何年も先発、スタメンを張り続ける選手が多くいます。オリックスには何人いるでしょう?

 

今期に限っていえば、外国人選手が総じて期待外れに終わった段階で福良監督は若手主体のチームに切り替えたように見受けます。ですが、そこで活躍した選手もあまりいません。

なぜフロントは追加で外国人選手を獲得しないのか?なぜ2軍で若手が育っていないのか?なぜ1軍は選手を活かしきれないのか?

フロント(スカウト含む)、現場(1軍2軍含む)が一番意思疎通図れていない球団はオリックスではないでしょうか。

オリックス完全最下位の問題は福良監督1人が退任したとして何とかなる問題ではないと思います。

瀬戸山隆三球団本部長はセイバーメトリクスも熟知しているようなので、一度、難波か心斎橋あたりのおでん屋さんで一献しながら、この先どうすればオリックスは強くなるか語らいたいものです。

<参考文献>
1.02 Essence of Baseball:http://1point02.jp/op/index.aspx