安倍後継を予想する出世双六を発明したら政治部も想像つかない大穴候補を見つけた件

 

今回はサラリーマン必読。

人事移動で就いたポストから、今後の行く末を分析する手法を研究します。

 

どの大企業にも「総務課長は社長就任の必須ポスト」「品質担当副社長は実質上がり」など、異動先ポストから3年後、5年後の会社の行く末を占う人事大好き人間がいるはずです。

あの田中角栄氏も「総理総裁の条件として党三役のうち幹事長を含むニ役、内閣で外務・大蔵・通産のうちニ閣僚」と言うぐらいです。(ただし実際に田中角栄氏が言ったとする一次資料はありません)

 

そこで今回は久しぶりの計量政治学。現首相の安倍晋三氏の次の総理総裁は誰かを占うモデルを作成し、実際に予測してみたいと思います。

 

モデルの作成:総理総裁の条件とは?

「総理総裁の条件として党三役のうち幹事長を含むニ役、内閣で外務・大蔵・通産のうちニ閣僚」という言葉に真実味があるのは、実際に総理総裁経験者の多くがこのポストについているからです。

特に幹事長ポストは41人中12人が総理総裁に就任しており、総理総裁ウェイティングサークルのような存在ですらあります。

 

ですが、残り29人は総理総裁になれなかったわけで、運やタイミングなどの要素も少なからずあるようです。

その代表例が現首相・安倍晋三氏の父親・安倍晋太郎氏です。

幹事長、政調会長、総務会長、外相、通産相を歴任しながらも総理総裁就任のタイミングを逸し、失意のまま政界の舞台から退いています。

総理総裁交代のタイミングでリクルート事件というスキャンダル、さらに癌が発覚したからですね。

つまり総裁選あるいは次期総裁候補選定のタイミングで、スキャンダル・病気無く、さらに経験値の高い人にその道が開かれるというわけです。

 

そこで過去18回(1972年田中以降)行われた総裁選を参考に、就いたポストの数値化を図ってみました。

ちなみに話し合いでスムーズに一本化された1976年福田選出、1980年鈴木選出、1989年宇野選出、2000年森は対象から外しています。

 

モデルの完成と説明:幹事長・大蔵(財務)・外務は最強

歴代の総理総裁の就任したポストについては、コチラのwikipediaの記事に詳細が記載されています。

作成したモデルは以下のような結果となりました。

それぞれ、その役職に就いた段階で点数が付き、総裁選のタイミングで獲得点が多い人が1位になるものとします。

 

現役総裁:10点
幹事長:3点
政調・総務会長:1点
大蔵(財務)・外務:3点
官房長官(ただし2001年以降):3点
通産(経産):2点

 

各役職ともに1代につき各点数を割り振っています。

幹事長・大蔵(財務)・外務は最強であることが分かりました。国の内外を掌握できる役職ですから当然かもしれません。

また21世紀以降は官房長官経験者の総理就任が多かったため(官邸主導型になっているので内閣官房で仕事の流れが分かる必要がある点も考慮して)、福田康夫氏就任以降は3点を加算することにしています。

 

この結果を、過去の総裁選に当てはめてみます。

例えば1972年7月の総裁選の場合、田中角栄氏、福田赳夫氏、大平正芳氏、三木武夫氏の4名が立候補し、田中角栄氏が総裁に選出されました。

 
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田中角栄氏の場合、池田勇人・佐藤栄作政権で67・68・69代大蔵大臣に就任しているので3代×3点で9点獲得します。

さらに、佐藤政権で15・16・19・20代目幹事長に就任しているので4代×3点で12点獲得します。

(代で言えば、15・16代を纏めて8代目と見なすこともできますが、途中で総務・政調両会長が交代しながらも幹事長に変更は無いので、それを鑑みて分けてカウントしています)

その結果は以下の通りです。見事当てはまりました。

 
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各ポスト就任で、それぞれの点数を付けたところ18回中11回予測を当てることに成功しました。

内訳を見てみましょう。以下の通りです。

 
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三角大福の時代(1970年代)は総理総裁になるための必要経験値は20点以上でしたが、以降は点数が下がって10点台でも就任できています。

田中角栄氏が言ったとされる「総理総裁の条件」は三角大福の時代だけに言えた話ということでしょう。

 

平成には、リクルート事件という一大疑獄事件がキッカケではありますが、経験値0の海部俊樹氏が総理総裁になるという「奇跡」も起きています。

このことから、経験値は絶対比較ではなく相対比較であることが分かります。

 

7回外しているわけですが、弁明したいところが幾つかあります。

まず政界の奇跡・小泉当選(2001年小泉選出)や、立候補者全員経験値0点(1989年海部選出)などは間引いて欲しいと切に願います。

さらに自分が総裁選に勝つ前提で「話し合いの結論を尊重すべきだ」(1974年)と言ったら三木武夫氏が指名されたり、「予備選で負けた者は国会議員による本選挙出馬を辞退するべき」(1978年)と言ったら大平正芳氏に予備選挙で負けたり、そんな福田赳夫氏の超ド級な勝負下手もぜひ間引いて欲しいところ。

実際、両方とも福田赳夫氏が総裁選に勝つ予想になっているので口が滑ったのでしょう。

 

それでも外した1993年、2007年、2012年を見ると、モデルで表せない「党内人気」「スキャンダルへの嫌悪感」「健康不安」の3要素が浮かびます。

特に難しいのが「党内人気」です。

国民の人気とは別に「落ち着いている」「有力者の○○さんが買っている」という理由で、経験値が少ないのに総理総裁に推される事例です。

直接民主主義では無いので、国民人気と党内人気が一緒になるとは限りませんが、間接民主主義のデメリットとも言える面が垣間見えますね。

 

モデルで予測する:安倍後継は誰?

では前述したモデルを、現役世代の安倍後継に当てはめてみましょう。

もし2018年9月に総裁選があったと仮定すると、以下のような結果になりました。

 
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総裁後継候補ナンバー1と目される石破茂氏は11点、岸田文雄氏は6点という結果になりました。石破氏の場合は閣務が、岸田氏の場合は党務が経験値として足りないようです。

次の内閣・党三役改造で、石破氏が外務か財務、岸田氏が幹事長に就任すれば、それぞれ不足する経験値を補えることになります。

もし石破氏が就任を固辞しても点差は5点、まだまだ総裁後継候補ナンバー1の地位は揺らぎません

その他に注目すべき政治家がいるか調べてみると、超意外な…というか大穴な候補者がいました。

 
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麻生太郎氏が20点、二階俊博氏が12点と石破氏を上回る得点を挙げています。麻生氏は幹事長・政調会長・外務・財務と、橋本龍太郎氏以来の総理総裁候補条件をクリアする唯一の政治家です。

ネックなのは年齢かもしれません。石破・岸田両氏が2016年現在59歳に対して、麻生氏が2016年現在76歳。2年後には78歳ですから、就任時での最高齢記録である鈴木貫太郎の満77歳2ヶ月を更新することになります。

あとは自民党野党転落時のA級戦犯扱いなので、まぁ無いでしょう。…たぶん。

 

50代・60代前半の候補者で焦点を絞ると、以下の2名も候補に上がります。

 
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石原伸晃氏は7点、茂木敏充氏は4点。

それぞれ後継候補に名前は出てきていませんが、経験値のみ見ると候補に出てもおかしくありません。特に茂木氏は派内では額賀派の次も狙える役職・当選回数です。

石原・茂木両氏は外務・財務の何れかに就任すれば一気に後継候補レースに名乗り挙げることになるでしょう。

 

では本命は誰かというと、この人です。

 
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今まで特例を除いて三選禁止だったのですが、どうやらルールが変わって三期九年になるようです(参考までに)。

現役総裁は10点なので、問答無用で最有力候補です。(それでも麻生氏に1点及ばないですが!)

現役総裁が総裁選に立候補し、選挙になった場合の勝敗は過去通算8勝1敗。

勝てる見込みが無い場合は撤退する(1982年鈴木、2012年谷垣)ことが現役総裁の採る戦略です。言い換えればそれまでに次期総理候補が政治力を蓄え、そのような環境に追い込めるかが鍵ですね。

 

ちなみに、みんな大好き稲田朋美氏は今のところ1点(75代政調会長)のみです。次回は無いのではないでしょうか。

 

おわりに:安倍の次は安倍 vs 石岸伸敏

今のところ次期総裁候補は、石破茂・岸田文雄・石原伸晃・茂木敏充各氏の4名が有力候補ということでしょうか。

4名の名前から一文字拝借して「安倍 vs 石岸伸敏」としたいと思います。

 

就いたポストから後継者を予想することのポイントは、得点の絶対比較ではなく相対比較であるということです。

つまり加点主義に見えて実は減点主義であり、ミスにより候補者にすら上げられない事態を防ぐことが何より欠かせません

これはどの会社の人事屋さんも、相槌を打ってくれるでしょう。

 

このことから後継候補のスケールが小さくなってしまうという批判もあるようです。

しかし人の上に立つほどの人間であれば、攻めながらも守る、右手で握手して左手で拳を握るぐらいの腹芸は見せて欲しいところですね。

以上、お手数ですがよろしくお願いします。