機械学習や人工知能を今年こそしっかり勉強したいと決意するエンジニアにオススメな10冊

昨年は「今年こそデータサイエンティストになると決意したあなたが読むべき10冊」と題して、年末年始に読んで欲しい本を紹介しました。

今年はバズワードだった人工知能と機械学習を、いよいよ実装しなければならなくなったエンジニアを対象に、これ読んだらいいと思いますよという本を紹介します。

 

そもそも「人工知能」って何やねん?

いま最も人気の学会は人工知能学会らしいですが、そもそも「人工知能」って学術的にはどう定義されているの?と思われている方向けに、まずは読んで欲しい1冊です。

人工知能学会誌での連載解説が大幅に加筆修正された、とあります。

 

人工知能とは (監修:人工知能学会)
松尾 豊 中島 秀之 西田 豊明 溝口 理一郎 長尾 真 堀 浩一 浅田 稔 松原 仁 武田 英明 池上 高志 山口 高平 山川 宏 栗原 聡
近代科学社 2016-05-30

 

人工知能分野で最先端の研究を行う研究者13人による「人工知能とは何か?」という基本的な解説と、各研究者の研究内容が網羅されているので、大学のリレー講義を受けているような感覚を受けます。

面白いのは「”人工知能”に学術的な定義が無い」ことだと思うのです。そもそも先生の間で「知能」の定義が違うのです。その辺の詳細もこの本を読めば分かります。

合わせて読みたい2冊を紹介します。

 

 

人狼知能 だます・見破る・説得する人工知能
鳥海 不二夫 片上 大輔 大澤 博隆 稲葉 通将 篠田 孝祐 狩野 芳伸
森北出版 2016-08-18

 

ゲーム「人狼」の対戦相手が人工知能だったら…という発想で誕生した人狼知能プロジェクト(WEBサイトはコチラです)。

これまでの研究過程や、具体的な検証内容が発表されています。

2013年に将棋の世界で、2016年に囲碁の世界で、それぞれ人工知能が人間に勝利しました。

しかし「人狼」は「騙す」という心理戦です。ちょっと毛並みが違います。

人に騙されているように、人を騙す。いわゆる「人間味」が追求されるのですが、さて「人間らしさ」って何だろう?と考えさせられる1冊です。

 

人工知能の作り方 ――「おもしろい」ゲームAIはいかにして動くのか
三宅 陽一郎
技術評論社 2016-12-06

 

スクウェア・エニックスのAI技術を牽引する三宅さんの書かれた1冊です。

すでにFF15では主人公以外の3名が全くもって意味不明な動きをしたり、壁を透けたり、Twitter上で色んな不具合が報告されていますが、どうかそうした不具合を見る前に読んで欲しい1冊です。

感情移入のしやすさ≒ゲームAIとして捉えると、必ずしも知能の追求は人間らしさの追求では無いことが分かります。

人間らしさの追求と、感情移入のしやすさの追求。この目的が違う2つのプロジェクトが、それぞれ「人工知能」という手段をどのように使っているか知るのは面白いですよ。

 

「深層学習」の概要を知りたい!

人工知能が注目を集めるようになった理由に「深層学習(ディープ・ラーニング)」の発展が上げられます。

そこで、概念を知るために読むべき2冊を紹介します。

 

深層学習 Deep Learning (監修:人工知能学会)
麻生 英樹 安田 宗樹 前田 新一 岡野原 大輔 岡谷 貴之 久保 陽太郎 ボレガラ ダヌシカ 人工知能学会
近代科学社 2015-11-05

 

一番最初に紹介した「人工知能」と同じく、人工知能学会誌での連載が1冊の本になっています。

基本的な考えから、画像認識、音声認識、自然言語処理への応用の考えが書かれているので、いざ深層学習に取り組むときにまずは計算式から理解しておきたい、というエンジニアは買うべき1冊かなと思います。

ちなみに、数ⅡB以降の数学知識が求められる内容なので、文系だよーって人が手を取っても、そのハードルの高さに心が挫ける可能性があります

また、実際に手を動かすためのプログラミングが書かれているわけではないので、手を動かして覚える派は読んでも「なんか違う」と思います。ので後半に紹介する本を手にとってみてください。

 

進化計算と深層学習 -創発する知能―
伊庭斉志
オーム社 2015-10-21

 

「進化計算」という組み合わせ最適化問題の話と「深層学習」の話がセットになった1冊です。

はっきり言ってかなり難しい1冊なのですが、先に紹介した1冊と合わせて読めば、まずは概念は理解できると思います。

ちなみに全てを理解しようと読み進めるとなると、最初の30ページで挫折する可能性があるので、計算式はすっ飛ばして、そういう考え方をするのかー程度の理解のほうが良いと考えます。

 

実際に手を動かして「機械学習」を理解する

コード書きながら理解したい派にオススメなのが次の3冊です。

 

データサイエンティスト養成読本 機械学習入門編 (Software Design plus)
比戸 将平 馬場 雪乃 里 洋平 戸嶋 龍哉 得居 誠也 福島 真太朗 加藤 公一 関 喜史 阿部 厳 熊崎 宏樹
技術評論社 2015-09-10

 

ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装
斎藤 康毅
オライリージャパン 2016-09-24

 

TensorFlowで学ぶディープラーニング入門 ~畳み込みニューラルネットワーク徹底解説~
中井 悦司
マイナビ出版 2016-09-27

 

コード書いてみたい!って方は、単純に”Hello, World!”が表示されればOKというわけではなく、実際に画像認識してみたいだろうし、オートエンコーダの威力を体感したいだろうし、なるべく実務に使うことを想定したいはずです。

紹介する3冊は、実務寄りというか、事例が実務である場合が多いので、自分のやっているビジネスに置き換えやすいのではないかと考えます。

ちなみに、ディープラーニングといえばTensorFlowなのか?と聞かれるとその他もありますし、caffeとか挙げますが、所長は環境構築で断念した派であります(6時間かかったよ!)。Qiitaとかでも「時間がかかる」「躓きやすい」というコメントがありますね。

TensorFlowはせいぜい20分程度だったので、とっつきやすい方に行きました。

 

ちなみについでに、機械学習と言えば”Python”が定番化していますが、環境構築について「データサイエンティスト養成読本 機械学習入門編」を参考にしてください。

そして”R”でも同じようなことはできるので、Rのことは忘れないで下さい!

 

次に来る?であろう「強化学習」を先行して学んでおく

人工知能≒深層学習だと思っている人は大勢いますが、決してそうではなく、あくまで一分野・一領域です。

さきほど少しだけ触れた進化計算もそうですし、強化学習もそうです。最近はDQN(ドキュンじゃないよ)の活躍で、こちらにより注目が集まっているかなぁ、と思います。

囲碁に勝ったAlphaGoも、DQNです。

そこで強化学習に関して学べる2冊を紹介します。

 

強化学習
Richard S.Sutton Andrew G.Barto 三上 貞芳 皆川 雅章
森北出版 2000-12-01

 

これからの強化学習
牧野 貴樹 澁谷 長史 白川 真一 浅田 稔 麻生 英樹 荒井 幸代 飯間 等 伊藤 真 大倉 和博 黒江 康明 杉本 徳和 坪井 祐太 銅谷 賢治 前田 新一 松井 藤五郎 南 泰浩 宮崎 和光 目黒 豊美 森村 哲郎 森本 淳 保田 俊行 吉本 潤一郎
森北出版 2016-10-27

 

「強化学習」の方が古く、後者の「これからの強化学習」は2000年版を受けてのアンサー本といった感じでしょうか。(違うか)

どちらもかなり難しいですし、基本数式ばかりです。

もしかしたらQiitaの方がサンプルドキュメントは充実しているかもしれません。ですが、理論を知らずに実践していると、「なぜこんな結果が出たのか」に答えられなくなるので、一応紹介させて頂きました。

 

最後に

機械学習ではないんですが、マメ研所長が本を出したので紹介させて下さい。

グラフをつくる前に読む本 一瞬で伝わる表現はどのように生まれたのか

松本 健太郎

 

メインのお題は「グラフの書き方、作り方、読み方」です。

グラフの装飾方法などのテクニック論じゃなく、グラフという本質に迫った1冊です。この本さえあれば、テクニック論の本はそんなに要らないと思います。

付録として、グラフの書き方、作り方、読み方にそってデータジャーナリズムについて挑戦しています。

良かったらお近くの書店にて手にとってみてください!

 

まとめ

本を読んだから知ったことにはなりませんが、実践するための準備は整うのではないかと思います。

参考になれば幸いです!

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